眠れない夜の散歩道

ベトナム帰りの50代男が綴る東京生活

技能実習生送り出し機関訪問記~その2

この送り出し機関の場合、寮費は半年で1000万ドン、食費は1日5万ドンとのこと。
送り出し機関が技能実習生から徴収できる法定の金額は3600USD。それに加えて日本語学習の学費がたしか590万ドンだったはずだ。
寮費1000万ドンの中にこの590万ドンが含まれているのか確認するのを忘れてしまったが、おそらく含まれているものと思われる。
半年分の食費が900万ドンだから、合計すると50万円弱くらいかかる計算になる。

もしブローカーが介在していると、一人につき1000USDほどの紹介料を取られるため、2人のブローカーが関係していれば合わせて70万円ほどになる。

機関の担当者の説明によれば、現在は各地方で直接採用活動を行うことでブローカーを排しているとのことだ。それによって技能実習生が抱える借金の額は以前より減り、失踪者も減少したという。
とはいえ、ほとんどの技能実習生が貧しい農村の出身であることを考えると、50万円~70万円はほぼ全額が借金だと考えていいだろう。家族が田んぼや畑を抵当に入れて借りたお金かもしれない。

午後には別の送り出し機関の職業訓練センターを訪問する。と言っても、午前に訪問した会社のグループ会社だ。
センターは、ホテルから車で45分ほど走った場所にある。建物は平屋で広いオープンスペースになっている。ここで、塗装、型枠、縫製、建設、ビルクリーニング、食品加工、左官、溶接その他の職業訓練を行っている。
私が訪問した日には、日本から10社が訪れて候補者の面接を行なっていた。建設の実技試験として足場の組み立てと解体をやらせている会社もあった。

ここでは例えば5人ほしいと日本の会社から連絡を受けると、募集をかけ、応募者の中から送り出し機関が15名ほどを選抜する。15人は寮に入り、1週間ほどのトレーニングを経て日本企業の面接を受ける。そこで採用が決まった5人は引き続き職業訓練を受け、不採用となった10人はさようならとなる。この1週間については寮費や学費は無料なのだそうだ。
ここでの訓練期間は、日本語と職業技術を両方学ぶため、6カ月~8カ月になるという。

この職業訓練センターでは中を見て回っただけで、技能実習生と話をすることはできなかった。

着いたときには4~5台だった駐車場の車が帰る頃には12台以上になっていて、入りきらず敷地の外の路上に駐車している車まであるほどだった。