眠れない夜の散歩道

ベトナム帰りの50代男が綴る東京生活

履ける靴がない!

伊勢丹のセールで革靴を買った。

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大塚製靴のRulesというブランドのプレーントゥで、税抜き1万5000円。
写真でもわかると思うが、革の質はお世辞にもいいとは言えない。

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長時間自分の体重を預けるものには、多少お金がかかってもいい物を持つべきだと私は考えている。
具体的にはマットレス、椅子そして靴だ。
だったらもっとお金を出して質のいい靴を買えばいいじゃないかと言われると思う。確かにそうだ。5万円、7万円を出してももっといい靴がほしいと思っている。
なのになぜこの靴を買ったのか?
それは、この靴は「履ける」からだ。

私の足は甲がとても低い。足の指の付け根の部分も靴ひもを結ぶ部分も両方共だ。
内羽根式の靴を履いて羽が完全に閉じなかったことは一度もない。スニーカーなどはどの靴も結んだあとのひもが余りすぎて踏んでしまうほどだ。
単に足が小さいというのとは違って、つま先からかかとまでの長さに対して足全体の体積が小さいのだ。
人間の全身に例えれば、身長はふつうだが骨格が小さくてやせっぽちということだ。
だから、ふつうの靴は甲だけでなく全体に緩い。

今までにいろいろな靴を買っては失敗した。なぜか店で履いてみたときには行けそうな気がするのだ。けれども、実際に履いて歩いてみると「あっ、これは合っていない」とわかる。その状態でがんばって数回履いてみるが、結局辛すぎて下駄箱に放り込んだきり二度と履かなくなってしまう。
ヤンコ、シェトランド・フォックス、三陽山長、ISETAN MEN'Sオリジナル、メルミン、J.M.ウエストンなどすべて無駄になってしまった。

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伊勢丹メンズ館の地下1階で店員さんを煩わせていろいろな靴を次から次へと試してみたこともある。しかし結局店員さんに匙を投げられてしまった。クロケット&ジョーンズ、ジョン・ロブ、エドワード・グリーンなども私にはすべて甲が高すぎた。

しかし、伊勢丹三越のセールでたまたま履いてみた2足の靴だけは、自分の足にぴったり合っているとまでは言えないものの、とりあえず履いて歩くことができた。
それがカルミナとRulesだ。

カルミナの方は、伊勢丹メンズ館やメルミン販売店ですでに履いたことがあった。そのときは合うものがなかったのだが、たくさんのラスト(木型)があるようで、セールで売られていたものはちゃんと履けたのだ。それでも甲に変な皴が入ってしまっているのだが…。

そしてRulesのストレートチップ。これは期待せずに履いてみたら、もしかしたら行けるかもと感じて買ってみた。初めのうちは右足親指の付け根が噛まれて痛くて仕方なかったのだが、ガマンして履いているうちに痛みは感じなくなった。
これももちろん内羽根はぴったり閉じてしまっているし、履いていて全体的に緩い。それでもちゃんと履いて歩けるというだけで私にとってはとても貴重なのだ。
革の質がどうのデザインがどうのという前に、とにかく履いて歩けること、これだけで選ぶ理由になる。

だから今回の伊勢丹のセールでRulesが出ているのを見たとき、もう1足買っておこうとプレーントゥを試してみた。履いてみた感じ、木型はストレートチップと変わらないようだった。
最初に書いたとおり革の質は残念だが、そんな贅沢は言っていられない。履いて歩くことのできないジョン・ロブよりも1万5000円のRulesの方が私にとってははるかにいい靴なのだ。もっとも、飾って見て楽しむというのならば別だが…。

というわけで、履ける靴が1足加わったことで靴のローテーションが楽になった。
次は、お金に余裕ができたらカルミナのラストRainを試してみたい。ネットで調べたところによれば、カルミナでいちばん甲の低いラストがRainらしいから。

しかし、自分の甲の低さが恨めしい。ふつうの人は選択肢がいくらでもあるのに私はほとんど選ぶことができないのだから。足に合う靴があればそれを買うしかない。
エドワード・グリーンでもジョン・ロブでも好きな靴が履ける人がうらやましすぎる。